またカラシンにはスケールイーターと呼ばれるような他魚の鱗を好んで食すタイプのものも存在する。有名なものはアフィオカラックス・パラグアイエンシスでこのテトラは小型で見た目も他のカラシンと特に差異がないにもかかわらず他魚の鱗を食い入るようにして食す。このような性格のカラシンを入手した場合は単独飼育をオススメしたい。
また極端に臆病な性格のカラシンを他の小型カラシンと混泳する場合は、十分な隠れる場所を作ってやることも重要だ。隠れる場所は水草でも良いし、小さな素焼きの鉢を横に倒して水槽内に設置しても良いだろう。
軽視されがちであるがカラシンの性質に合った水の流れを作ることも重要だ。使用するろ過装置によっては水の流れがきつすぎる場合がある。ワイツマニーテトラやペンシルフィッシュの仲間などは泳ぐ力が比較的弱いので水の流れがきつすぎると流されてしまうことがある。時にはうまく餌を摂れずに餓死してしまうこともある。従って前に挙げたような種類を飼育する場合はろ過装置の排水部分に何らかの工夫をして水の流れを緩やかにする必要がある。
水量と収納できる小型カラシン数の割合
基本は水1〜3リットルに対し3センチの魚なら1匹だが、
気の荒い種類を同居させる場合は「過密飼育」がおすすめ
色をあげて楽しむ。〜水質の工夫、餌の工夫〜
発色前(Before) |
発色時(After) |
上の2枚の魚の写真は同個体であるが、目、尾びれ付け根、体の発色が発色前と発色事ではまったく異なっていることがわかる。
珍カラの場合その全てがワイルド個体のはずなので、上手く水質を調整できれば発色は養殖モノより格段に濃くすることができる。ではどうすれば最高峰の発色を見ることができるのだろうか?
色々方法はあると思うが、やはり水質(pHや硬度)を多くのカラシンに適していると言われる弱酸性の軟水に安定させる方法が一番やりやすいだろう。種類にもよるが多くはpH6.0〜6.5付近が最適だ。最近では入れるだけで水質を弱酸性に安定させてくれるソイル系底床も専門店で販売されている。底床をこのようなソイル系にするのが最も手っ取り早い方法であると思われる。
ソイル系には大きく分けて吸着系と栄養系があるが、カラシンではどちらでもよいだろう。ただしpHや硬度への影響度は重要であり、同じソイル系でもそこまでpHが下がらないタイプから、pHを5.0近くまで落とすタイプまで用途に応じた様々なタイプが販売されている。それらを上手く使い分ければ飼育水をカラシンの種類に応じた水質にするのは意外と難しくない。マニアの中には異なる種類のソイル系を混ぜて至適水質を作ろうとする方もいるが、複数のソイル系を混ぜて使うのはやや上級者向けのテクニックであり、センスと経験が問われるので水質調整の難度は上がる。初心者の方は複数のソイル系を混ぜずに1種類のソイル系を用いた方が懸命だろう。
他に弱酸性の飼育水を作る手段としてピートモスを用いる方法がある。ピートモスを用いた飼育水、通称「ピート水」の作り方は市販の鑑賞魚用ピートモスをカルキを抜いた水に少量入れ、水質が弱酸性(pH6.0〜6.5)になるようにピートモスの量を調節する。もし入れすぎてpHが下がりすぎた場合は水道水を足してpHを上げるのだが、足した直後には水質が弱酸性になっても翌日には弱酸性からかなり外れることがあるので水道水を加えた場合は最低1日はおいて翌日に水質を確かめてから使用したい。また園芸用ピートにも使えるものもたくさんあるが、一部観賞魚飼育に向かない成分を含むものがあるのでオススメできない。
カラシンに向く水質
弱酸性(pH6.0〜6.5)、軟水
注;長期間換水をせずに放っておいてもpHが徐々に下がることがあるがその場合はエロモナス感染症のリスクも増えるように思える。
さて飼育水を弱酸性にしたら餌も少し工夫してみよう。人工飼料のみで飼育してきた場合はブラインシュリンプや殺菌済みのアカムシ、イトミミズなど生き餌も回数を決めて与えてみる。ただイトミミズは雑菌が発生しやすく衛生的にあまりお勧めはできない。また人工飼料でも栄養価の高い製品もありそれらを通常時の餌に混ぜて与えるのも良いだろう。ポイントとしては何時も餌は少なめに何回かに分けて与えることである。与え過ぎは厳禁だ。こうすることによって食べ残しが激減し、水質悪化を遅らせ、より長く至適環境を維持できる。
カラシン水槽の水草にもこだわってみよう。
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エキノドルス類など隠れ家(シェルター)になるような葉幅が広い水草は小型カラシンによく合う。左の写真は最も一般的なエキノドルス・アマゾニクス(アマゾンソード)であるが、エキノドルス属だけでも個性的な種類が多く、カラシン同様にコレクション性も高い。 |
水草にも工夫を。
南米産カラシンなら南米産水草をコラボすると統一感があり良いかもしれない。
ここに挙げた以外にも珍カラの飼育の楽しさ、面白さを味わえるカラシニストらオリジナルのやり方があるであろう。珍カラには種類のわからないいわゆる「謎カラ」という個体が多数存在するが、それらの種類を自分で調べてウェブにまとめてみるのもまた楽しいものだ。
ワイルド個体にこだわる。
”ブリード個体は飼わずにワイルド個体のみ飼育する。”このような飼育スタイルも面白い。ブラックファントムやグローライトテトラのようにブリード個体が主に流通するような一般的なカラシンでもわざわざ割高なワイルド個体を探して飼育するマニアも少なくない。ワイルド個体は養殖物よりも発色が良く、種類によっては違う種類ではないのかと思ってしまうほど体色が異なる場合もあるので、よく知っているカラシンでも新たな発見があるかもしれない。
また水草も南米産カラシン水槽なら南米産ワイルド水草、アフリカンカラシン水槽ならアフリカ産ワイルド水草にこだわってみるのも面白いだろう。
ワイルド個体にこだわった飼育スタイル
・水槽に入れる生体を一貫してワイルド個体にするという飼育スタイル。
水草でさえも改良品種は使用せず南米産のホシクサや現地採集株のエキノドルスなどにこだわる。
・底床も飼育するカラシンの生息地にありそうなものを選択してみよう。
(例:ネグロ川=リオネグロサンド(=非常に細かい白い砂))
皆さんにもぜひオリジナルの珍カラの楽しみ方を見出していただきたいと思う。